X県山間の町。そこには虻狗隧道(あぶくずいどう)と呼ばれる謎の洞窟があり、〈モグラ〉と称される住民が住んでいた。
故郷と訣別して町に引っ越してきた男は、紹介されたツチヘビの食品加工場で働き、美しい女性と知り合って結婚した。だが、ある日、妻は「トンネルにまいります」との書き置きを残して失踪する。男は妻を探そうと動き出すのだが……。
読み出したら止まらない、読書の醍醐味に満ちた、至高の怪奇幻想小説。
1969年福島県生まれ。東京歯科大学中退。2008年、『粘膜人間』(「粘膜人間の見る夢」改題)で第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞し作家デビュー。2010年、『粘膜蜥蜴』で第63回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞。