この町の誰が”顔を変えた殺人者”なのか?
時は、戦後間もない昭和22年。東京で亡き父の事務所を継いだ私立探偵の川宮兄妹は、依頼を受けて滋賀県の双竜町に赴く。
依頼主は、地元随一の製糸会社を営む占部家の先代社長夫人。専務の武彦が双子の兄である現社長の文彦に恨みを抱き、殺害を目論んでいるのだという。武彦は女子工員の小夜子に恋をしていたが、彼女は町中に中傷の手紙がばらまかれたことを苦に自殺。兄の仕業だと思い込んだ武彦は姿をくらまし、整形手術を受けて顔を変え、別人になりすまして双竜町に戻っている。
「なぜ顔を変えたかわかるか? お前の近くにいる」
川宮兄妹の使命は、武彦を探し出し、文彦の命を守ること。
しかし、琵琶湖のほとりに建つ巨大な洋館に招かれ、寝ずの番にあたった矢先、文彦は惨殺されてしまうーー
果たして誰が”武彦”なのか。
本格ミステリの名手による傑作が、待望の文庫化!
大山 誠一郎 (オオヤマ セイイチロウ)
1971年埼玉県生まれ。京都大学在学中は推理小説研究会に所属。2002年犯人当てミステリー『彼女がペイシェンスを殺すはずがない』を発表し、話題になる。2004年『アルファベット・パズラーズ』(東京創元社)を上梓し、本格的に作家としてデビュー。翻訳も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)